そのひぐらしのナマケモノ。

いつも、むしゃむしゃ。ときどき、むしゃくしゃ。

ガクチカ!について

就職活動が佳境を迎えている。

次々に内定を勝ち取る友人たちの背中がまぶしいこの頃だ。

私はというと…えっと、まあその辺の話は置いといて…。

 

噂によると、就職活動で必ずといってよいほど聞かれる質問があるらしい。

 

「学生時代、力を入れたことはなんですか?」

その名もガクチカ!」

 

なんのこっちゃガクチカ!って!最初に聞いたときはもうチンプンカンプン。

新卒一括採用!

みんなが一斉に同じ服をきて!

おんなじ髪形をして!

同じような質問に答えまくって!

挙句の果てにはこんな業界用語まで出来上がっているなんて!!!

日本の就活事情はもう大変なこっちゃです。

未経験の私が語るなって話なんだけれども。

 

話がずれたけれど、周りの先輩や友人の話を聞いていると、

どうやらこのガクチカ!、就活をするにあたっては肝心要の重要項目らしいのだ。

企業側にとってその人の為人やその働きぶりが

一番想像しやすい質問がこのガクチカ!なのだろう。

 

そこで、ガクチカ!を熟考する友人たちにまじって、

私もぼんやりと考えてみたのである。

私だったら何を語るのか。

 

それなりに今まで頑張ってきたんだから、そりゃあ何かはいえるだろう、

と思っていたのは最初のうち。

この質問、考え始めてみると、なかなか答えが見つからないのである。

シンプルだけどとても難しい。

 

うーん、

小1から高校入学まで続けたピアノ?

中1から高3まではいっていた吹奏楽

大学時代のボランティア?

大学院での研究?

 

んんんんんん…んんんんんん…?????

 

それなりに、そう、それなりに、それなりのことはやってきた。

習い事に部活に大学生活。

どれもその時その時は頑張ってはいるのだけれども、

振り返ってみてこれといって胸を張れるものって……

 

んんん、正直いって私には、ない?

 

わからなくなってしまったので、

我が友人たちにガクチカ!独自インタビュー!を行ってみることに。

 

あなたが学生時代、一番頑張ってきたことはなんですか?

 

友人Aさんは好きを極め続けた研究活動

友人Bさんは幼少期から今も続けているマラソン

友人C君は小学校から大学まで続けている野球

友人Dさんは大学の体育会の部活マネージャー

友人Eさんは大学時代のボランティア活動

 

ああ、わが友人たちは何かにちゃんと打ち込んできた人がなんと多いのだろう。

 

○○さんといえば○○が得意 / 詳しい

というシンプルな法則にしっくり当てはまる。

 

私はといえば

研究活動は迷走

ラソン大会はいつもビリのほうだったし、

野球部なんて無縁の女子校にいたし…。

 

んんんんんん…ますます自信が…

 

そんな中、高校時代の友人F子にたまたま会う機会があった。

友人F子は頭もよくて音楽も得意で仕事もできる私の誇れる友人の一人だ。

そこで、ふと聞いてみたくなって、聞いてみた。

 

「ねえ、今までの人生で一番打ち込んだことってなに?」

F子はすこし考えてから、こう答えた。

「うーん……大学時代の恋愛かなあ。」

 

えええええ!これは不意打ちだった。こんなガクチカ!ってアリ!?

 

恋愛なんて多かれ少なかれみんなしてるし、

○○さんといったら○○が得意 / 詳しい

の法則に当てはまりそうもない。

 

 

それに正直言って、ずっと恋愛相談に乗ってきた私の目から見て

F子はそんなにいい恋愛なんてしてこなかった(この文章みてたらごめん)。

多感な中高時代を女の子だけで過ごした私たちは、大学に入ってはじめて

 

「男の子!?なにそれ!?うわあ、おっきいなあ!!」

 

っていうところからスタートしなければいけなくて、

超がつくほどの恋愛不器用人間なのだ。

すぐ恋に落ちる割には奥手すぎてどうにもこうにも身動きがとれない、

そういう性なのである。

 

F子さんは頑張って恋愛してたけど

別に恋愛が得意でもないし

詳しくもなんともない。 とてつもなくモテるわけでもない(ごめん)。

 

だけど彼女は本気で恋して、

向き合って、

失敗して、

多くを失い、

そして得たのである。

 

一般的にみたら、普通の女子大生の、ごく普通の、恋。

でも、本人にしてみたら、何年間も命を削るようにして想った、一生に一度の大恋愛。

 

この答えを聞いた私は、

友人F子に対する並々ならぬ愛と尊敬とが自分の中であふれかえるのを感じた。

それは、その答えがあまりにも自分を飾らない

等身大、だったから。

周りと比べてどうとかこうとかじゃなくて、

それが完全に自分の中で真剣に向き合った経験だったから。

 

就活云々なしにしたって、

今までの人生一番頑張ったことはなんですかという質問に

恋愛って、なかなかこんな答えをする人っていないと思う。

 

○○さんといったら○○が得意 / 詳しい

そういうものがある人って、純粋にすごいなと思う。

 

だけど、ああ、私自身が勝手に作り出したそんな法則で

判断しちゃいけないほど人って多様だ。

 

「周りと比べて」特別なにかに秀でていなくても、

私たちは十分に個性に満ち溢れていて、

自分の人生に誇りを持つことができる。

 

どんなに小さなことでも、他人からしたら大したことないことでも、

目の前にあることに一生懸命頑張ることで輝くことができる。

 

そう素直に思えた時、私だって本気で頑張ったこと、

たくさんあることに気が付いた。

別にものすごいことができるわけではないんだけど

大事なのはどんなすごいことができるかじゃなくて

どんなふうに頑張るか、だ。

 

A君の研究だって、Dさんのマネージャーだって、

プロじゃないんだから、彼らの中で一生懸命頑張ってきたという

そんな経験談なのだけれども、

そうかそういうことだったのか、と、F子の答えを聞いて納得した。

 

今はバリバリの社会人F子もさすがに就活のガクチカ!質問で

恋愛の話はしなかっただろうけど、

私にとって一番、印象的で衝撃的で、核心をついていて、

見栄っ張りな私に、

「別に等身大でいいじゃん、頑張ってんだもん、それが大事なのよ」

と、シンプルで大事なことを気が付かせてくれた、

たぶん会社の中でもできるオンナなのであろうF子の

ぼんやりしたガクチカ!の話でした。